この記事のポイント
- 予定していたやるべきことが抜けるのは、記憶力ではなく、意識が「他」に集中しすぎるから
- 抜けるきっかけは、後回し・相手待ち・期限に余裕がある・割り込み・気の進まない仕事の5つ
- 防ぐには、意識しなくても予定が目に入る仕組みをつくる
やるべきことが抜けるのは、意識が「他」に集中しすぎるから
予定が抜けるときによくあるのが、「今やっていること」を手放した瞬間です。後回しにした、相手に渡した、まだ先だと思った。そうやって意識の外に置いた予定は、自分から思い出さない限り戻ってきません。スケジュール管理が苦手な人ほど、目の前のことに全力を注ぐので、「意識」の外がよく見えなくなります。
ミスを恐れるほど、抜けやすくなる
一度抜け漏れによるミスを経験すると、次はミスをしないようにと、目の前の作業に強く集中するようになります。けれど集中を深めるほど、他に向ける意識は細く薄くなります。気を張り続けるぶん疲れるのも早く、結果としてまた別の何かがこぼれます。それが重なると、自分は向いていないのだという無力感だけが残ります。
ここで足りないのは能力ではなく、意識の配り方です。すべてを頭の中で処理しようとするのをやめて、思い出すきっかけを頭の外に預けます。そのために、まずは予定がどんなときに抜けるのか、注力すべきタイミングを見ていきます。
予定が抜ける5つのきっかけと防ぎ方
抜け漏れを振り返ってみると、直前にはたいてい決まったきっかけがあります。よくあるのは次の5つです。
① 後回しにしているうちに忘れる
「これは午後でいいか」「明日まとめてやろう」。後回しにすること自体は悪くありません。問題は、後回しにした瞬間に、その予定が「意識」の外へ出ていくことです。どこにも書いていなければ、次に思い出すきっかけは偶然しかありません。
防ぐには、後回しにする前に「思い出すきっかけ」を残してから手放すことです。
② 相手にボールを渡したとき
資料を送った、確認をお願いした、見積もりを出した。送信ボタンを押したその瞬間、ひと仕事終えた気分になり忘れてしまったことはありませんか?けれど仕事は終わっていません。赤字が戻ってくることもあれば、戻ってこなければ催促も必要です。戻ってきたときには、自分の予定がほかの仕事で埋まっているなんてことも珍しくありません。
こうした抜け漏れを防ぐには、渡したあとの確認日を予定に残すことです。いつまでに戻らなければ催促するか、先に書いておきます。
③ 期限に余裕があると、ギリギリまで動けない
締め切りまで2週間ある仕事は、「まだまだ余裕がある」と感じます。焦りを感じるまで手がつかず、気づくと前日。締め切りは覚えていたのに、いつ始めるかを決めていなかったせいで、新しく入った仕事に埋もれてしまう。
しかも、余裕があるように見えて、実は土日や祝日休みが挟まっていることはよくあります。たとえば12日(金)の午後に「15日(月)の18:00までにやっとけばいいよ!」と上司から言われて、「ありがとうございます!」なんて言う人はまずいないでしょうが、ゴールデンウィークやお盆休み前に焦って業務をこなしている光景はよくあるかもしれません。
こうしたケースはタスクの玉突きによる抜け漏れが起きやすく、この状況を防ぐには、締め切りから逆算して「始める日」を決め、その日をスケジュールに入れることです。後手になって焦りで動くのではなく、先手で動く。休みも含めたスケジュール管理で対応しましょう。重要なのは、締め切り日ではなく、始める日を決めることです。
補足
年末年始やお盆休みは会社によって異なります。振替休日や国民の休日も年によって変わるので必ず確かめてください。
④ 途中で別の案件が入ってくる
午後に資料を仕上げて、夕方に見積もりを送る。そう決めていたところに「至急でこれお願いします」と声がかかる。対応を終えて戻ってきたとき、資料のことは覚えていても、見積もりのことはきれいに消えている。頭の中だけで持っていた予定は、新しく入ってきた仕事に意識を奪われ、抜け落ちてしまいます。
防ぐには、割り込みに応じる前に、今やっていたことと次の予定を一行だけメモなどに書き残すことです。10秒で済みます。戻ってきたときに、その一行が「意識」を引き戻してくれます。
⑤ 気の進まない仕事ほど忘れる
経費の精算、書類の更新手続き、気の重い連絡、なかなか進まない資格の勉強。こうした仕事は、忘れるというより、意識しないように現実逃避することがあります。見ないでいるうちは気が楽です。好きな仕事は放っておいても思い出しますが、苦手な仕事を思い出すきっかけは、自分からは生まれにくいものです。
これを防ぐには、最初の一歩を10分で終わる大きさに区切り、勝手に目に入るようにしておくことです。「経費精算」ではなく「レシートを1か所に集める」。また、アラート通知のように、自分で思い出さなくても予定が目に入る形にしておきます。
5つに共通するのは、予定を意識だけで持っていること
5つとも、本人は「予定」のことを一度は知覚しています。ただ、一度意識の外に置いた予定は、戻ってくる道がありません。だから「もっと気をつける」では解決しません。必要なのは、意識しなくても予定が戻ってくる「道」をつくることです。
- 置き場所を1つにする
口頭、チャット、メールで受けた予定を、すべて同じ場所に集める - 期間として並べる
「何をやるか」だけでなく、いつ始めて、いつまでかかり、他のタスクと重なるかを見えるようにする - 向こうから知らせてもらう
自分で思い出すのではなく、決まった間隔で予定が目に入るようにする
2つ目の「期間として並べる」は、ToDoリストだけでは足りない部分です。
| ToDoリスト | 期間で並べた予定 | |
|---|---|---|
| わかること | 何をやるか | いつからいつまでで、何と重なるか |
| 気づける抜け | やり忘れ | 着手の遅れ、相手待ち、休み、重なり |
| 向いている用途 | 今日の細かい作業 | 数日以上かかる仕事、複数の案件 |
時間の流れに沿って予定を横棒で並べた表を、ガントチャートと呼びます。大がかりなプロジェクト管理の道具と思われがちですが、むしろ個人の仕事に向いています。1人で抱える予定ほど頭の中だけに置かれやすく、抜け漏れがあっても誰も気づくことができないからです。
意識しなくても予定が目に入るガントチャート「Narwhal tusk」
FREE MIMETICSの「Narwhal tusk」は、ここまでの3つの仕組みを1つの画面でそろえることを目指して作った、無料のガントチャートです。予定を期間として並べるのはもちろん、意識を持ち続けなくても「タスク」や「予定」のほうから目に入ってくるように、次の3つの機能を組み込んでいます。
ポップアップ表示:没頭していても、決まった時間に目に入る
集中しているときほど、ほかの予定は意識の外に置かれていきます。ポップアップは、一度意識の外に出た予定を、決めた間隔で呼び戻します。
表示したい項目を1行ずつ書いておくことで、ページを開くたび、あるいは30分おき・1時間おき・3時間おき・5時間おきのうち選んだ間隔で表示することができます。「今週中に出す経費精算」「先方に催促する日」のように、後回しにしがちなことや、気の進まない仕事を入れておくのがおすすめです。自分で思い出そうとしなくても、向こうから目に入ってきます。
なお、自動の表示は、Narwhal tusk のページを開いている間だけ動きます。作業中はタブを開いたままにしておきましょう。
休日登録:「まだ余裕がある」の錯覚に気づける
締め切りまでの日数を数えるとき、土日は引いても、祝日や長期休暇まで引き忘れることはよくあります。余裕があるように見えた期間が、実は動ける日の少ない期間だった、というのが③の抜け方でした。
Narwhal tusk では、日本の祝日を振替休日や国民の休日まで含めて自動で塗り分けます。会社の休みや自分の休暇、相手先の休業日も、日付や期間を指定して好きな色で足せます。チャート上部の日付をダブルクリックするだけで、その日を休日にしたり外したりもできます。休みが塗られた表の上でバーを引くと、本当に動ける日数がひと目でわかります。
すぐ書けるメモ:割り込まれる前に、一行だけ残せる
割り込みで予定が押し出されるのも、後回しにした予定が消えるのも、書き留める場所がすぐ手元になかったときです。タスクとして登録するほどではないこと、まだ日付が決まっていないことほど、書かずに済ませてしまいがちです。
Narwhal tusk のガントチャートの画面には、プロジェクトメモ欄があります。画面を切り替えずにそのまま書き込めるので、声をかけられたその場で「見積もり、夕方までに送る」と一行だけ残せます。日付が決まったら、あらためてタスクとしてガントチャートに追加しておけば完璧です。
5つのきっかけへの対応
ここまでの機能も含めて、5つのきっかけにはそれぞれ次のように対応できます。
| きっかけ | Narwhal tusk での防ぎ方 |
|---|---|
| ① 後回し | 「+新規タスク」で、やる日まで期間を引いて置いておく。まだ日付が決まらないことは、プロジェクトメモにすぐ書き留める |
| ② 相手待ち | ステータスを「確認待ち」にして、待っている期間も表に残す。先行タスクで、戻ってきた後の作業とつなぐ |
| ③ 期限に余裕 | 締め切りから逆算して、始める日からバーを引く。日本の祝日(振替休日・国民の休日を含む)は自動で塗られ、会社の休みも日付を指定して足せる |
| ④ 割り込み | 声をかけられたら、プロジェクトメモに「今やっていたこと」と次の予定を一行残す。止まった作業は「期間を追加」で分けて描き、どこで止まったかを残す |
| ⑤ 気の進まない仕事 | チェックリストで最初の一歩を小さく切る。ポップアップで、決めた間隔ごとに画面に表示させる |
入力したデータはブラウザの中だけに保存され、外部には送信されません。登録も不要です。ただし、ブラウザのデータを消すと予定も消えるので、大事な予定はCSVで書き出しておいてください。
よくある悩み
スケジュール管理が苦手なのは直せますか?
意識を強くするより、意識しなくても予定が目に入る仕組みをつくるほうが早く効くことがあります。予定の置き場所を1つにする、始める日まで決めて書く、決まった間隔で予定を見せてもらう。この3つだけでも、抜けに気づくタイミングは大きく早まります。
気の進まない仕事を後回しにしてしまいます。どうすればいいですか?
仕事に着手しやすくなるように10分で終わる大きさまで小さく切り、細分化したそのタスクを予定に入れてみてください。苦手な仕事は、自分から思い出すきっかけが生まれにくいので、通知のように向こうから目に入る形にしておくのも有効です。
ToDoリストとガントチャートはどう使い分ければいいですか?
その日のうちに終わる細かい作業や突発的に入ってきてガントチャートに入れる時間がない場合はToDoリスト、数日以上かかる仕事や、人の確認が途中に挟まる仕事はガントチャート、と分けると扱いやすくなります。
個人の仕事でもガントチャートを使う意味はありますか?
あります。チームと違って個人の予定は頭の中に置かれがちで、相手待ちや割り込みで抜けても、誰も気づいてくれません。案件が2つ以上並んで動いているなら、1枚に並べるだけで見え方が変わることがあります。
まとめ
予定が抜けるのは、能力が足りないからではありません。後回しにした、相手に渡した、まだ余裕があると思った、割り込まれた、気が進まなかった。そうやって予定が「意識」の外に出た瞬間に、戻ってくる手段がなかっただけです。
もっと気をつけようと意気込む前に、予定を1か所に集めて、タスクとして登録し並べてみてください。意識の外に置いた予定が、きっと向こうから目に入るようになるでしょう。Narwhal tusk で、是非試してみてください。